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『Wの悲劇』(ダブリューのひげき)は、1984年12月15日に公開された日本の青春映画。監督は澤井信一郎。薬師丸ひろ子主演。カラー・108分。併映は原田知世主演の『天国にいちばん近い島』。15.5億円の配給収入は1985年の邦画で4位となった。 夏樹静子の小説『Wの悲劇』が原作とクレジットされているが、小説は本映画中で上演される舞台劇の原作という形になっており、ストーリーはその舞台を演じる女優の成長と恋を描いた青春映画である。 作品および監督の澤井、主演の薬師丸、助演の三田はこの作品で数々の賞を受賞し、特に、薬師丸ひろ子がアイドルから大人の女優に成長した映画としても有名である。また、薬師丸による主題歌もオリコンチャート月間1位を記録するヒット作となった。 == 作品解説 == 原作の小説とは設定が違い、舞台女優を志望する女性が劇団のスキャンダルに巻き込まれ、それをチャンスと逆手に取り成り上がっていくストーリー。原作小説のメインストーリーは映画内の劇団が公演している舞台のストーリー(劇中劇)となっており、映画内に原作ストーリーをそのまま内包した形で展開している。こういう構成になったのは、澤井信一郎に監督の依頼する前に、ミステリーの謎解きの説明が映画的でないという理由で既に何人かの監督に断られていて、澤井は原作を劇中劇にして、劇団の研究生の青春映画にすることを条件に引き受けたため。『麻雀放浪記』のシナリオを手伝ったことで縁のあった和田誠からの「謎解きミステリに名画はない」との言葉も後押しした。また、劇団という設定について監督の澤井は、スターである薬師丸にオーディションで落ちるという役を与えることで人生経験を積ませたかったと述べている。 劇中劇の外枠部分のストーリーはアーウィン・ショーの短編小説『憂いを含んで、ほのかに甘く』を参考にしていて、それを翻訳者常盤新平が盗作呼ばわりするなど議論が起こった。これに対し、小林信彦はキネマ旬報で「ヒントを得ることは盗作ではない。これを盗作とすれば、日本映画の大家の名作、現代日本文学の代表作の幾つかが、盗作になってしまう。」と援護するコラムを書いた〔キネマ旬報1985年3月下旬号「『Wの悲劇』は盗作ではない」。後に、単行本『コラムは笑う-エンタテインメント評判記 1983-88』に収録。〕。また、映画評論家の蓮實重彦や脚本家の野上龍雄も擁護した。結局、訴訟には至らず、毎日新聞も盗作でないと判断し、毎日映画コンクール脚本賞受賞の運びとなった。澤井監督は、この騒動で角川や原作者の夏樹静子に迷惑をかけ申し訳なかったとインタビューで答えている。 劇団の演出家役で蜷川幸雄が出演し、実際に劇中劇の演出も担当している。また、当時テレビで活躍していた芸能レポーターの梨元勝、福岡翼、須藤甚一郎、藤田恵子が、静香のスキャンダルと舞台『Wの悲劇』の突然の主役交代を追及するレポーター役で出演している。名優藤原釜足の最後の出演映画でもある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「Wの悲劇 (映画)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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